「かてめし」とは、お米が貴重だった頃の豆や雑穀、野菜、海草などを炊き込んだごはんのこと。季節の食材がたっぷり入り、栄養もあって手間いらず。ハレの日の混ぜごはん、炊き込みごはんをはじめ日本のお母さんの知恵がつまったかてめし、どれからつくってみましょうか。
写真=富井昌弘、武藤奈緒美
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毎年12月25日頃に行なわれる「お天神講」は、小中学生が地区ごとに集まり、習字で「天満天神宮」と書いて氏神さまに奉納する行事。学問の神様、菅原道真公に手を合わせ、戻ってきて食べるのが、お天神講めし。「子どもが何か頑張る日には、お天神講めしつくってやるよっていうと、もう喜んでね」。にんじんやごぼう、しいたけ、油揚げなどを炊いて、ごはんにのせて蒸らす。
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若狭湾に面した宇久地区は、9軒の小さな集落。ほとんどの家が漁業を生業としてきた。浦谷さんの家も代々続く網元。サザエの漁期は6〜9月。貝のうまみが凝縮されたサザエめしはこの時期だけのごちそうだ。「宇久は海と山の両方からおいしいものがとれる。だから混ぜごはんにもよく山のもんを入れるの」。捕りたてのサザエの身を取り出し、削ぎ切りにして炊き込む。
加須は利根川から水の恵みを受け、米も麦もよくできる穀倉地帯。米と麦が半々の麦めしを3食しっかり食べ、きつい農作業も乗り切った。米や麦の足りない分はいもで補った。少し大きめの里いもを2つ3つに切って入れ、塩を少し入れて炊き込んだいもめしは秋のごはん。小さい里いもや細いさつまいもは蒸して、こうじはん(午後の間食)にしていた。 |
九頭竜川下流に広がる米どころ、福井平野では、マスずしやだんご、笹もちなど多様な米の食べ方があった。秋の終わりに干した大根葉を混ぜたごはんがあえもんめし。水で戻した大根葉を細かく切り、味噌であえものを「おあえ」といい、おあえと冷やごはんを鍋で温めて、混ぜて食べるごはん。前日の冷やめしもこうするとおいしく、冬の朝食の定番だった。 |
「海老で鯛を釣る」というが、タイの多い燧灘(ひうちなだ)はエビがどっさり獲れた。エビはてんぷらにしたり、高菜の煮浸しにしたり。新鮮なエビをたくさん使い、しいたけ、こんにゃく、ごぼう、にんじんを入れ、塩と醤油で味付けして炊いたエビめしは、色もよく味もよい。ただし、炊き込むごはんも麦めし。耕地が少ない魚島では米は大事に食べた。 |