
物を大事にする暮らしぶり、人や自然とのつきあい方、昔の食事や遊び…。
おばあちゃんのおしゃべりを聞き書きしました。
写真=富井昌弘、武藤奈緒美、今井聡志




「こういう田舎ですから、昔は野草はみんな薬にしたり食べたり。野ばらも食べました。花はミツバチがくるくらい甘いミツなんです」
霧島山の麓で育った高崎スミさんは、昔ながらの草の食べ方や使い方、地元の歴史や伝説にくわしい。
おばあちゃんおじいちゃんに育てられたスミさんは、生活の中で、ヨモギやヤマブドウなど野草の使い方を教えてもらった。病気やケガをしても村には医者がいなく、自分で体を手当てして治す知恵をみんな当たり前に持っていた時代だ。
「『かわしょう』(セキショウ)っていう草があって、花が春になるとこの川に咲いたんです。かわしょうの根をたたいてそれにメリケン粉を入れて酢を入れて、布にはって傷につけてしばらくじっとしている。そうすると痛みがとれて熱がとれる。熱をとったあとは、かわしょうが紫色になるんです。そういうふうに代々伝えてきました」













