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vol.14 表紙 2009 vol.14 春

2009年3月5日発売
定価802円(税込)

田舎の本屋さんで購入する
ようこそ。縁側お茶カフェ

農家とお茶飲み話しながら、季節のお茶うけと自家製のお茶をいただく。
茶畑の向こう、遠くに見えるのは連なる山並みと青い海。
ついついのんびりしたくなる縁側なのです。

写真=富井昌弘

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森さんちの縁側。初めてなのに、なぜか親戚の家に来たような気分になる

手づくりのお茶うけでお客さんをおもてなし

 南向きの斜面に茶畑が広がり、その中にポツリポツリと民家が見える。静岡県中部、寸又峡に近いここ大間では集落全体が「縁側お茶カフェ」なのだ。全世帯7軒の農家の縁側が開放され、お客さんは休憩しながら、自家製のお茶とお茶うけがいただける。毎月第1と第3日曜日が営業日だ。

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お茶うけはその季節ごとに変わる。縁側の休憩料は300円。お茶やお茶うけはサービス

 松のある入り口を入り、縁側に腰を下ろして「こんにちは」と声をかけると、「いらっしゃい」と、急須とポットと湯呑みを持って奥から出てきたのは中村光子さん。「まずはお茶をどうぞ」。お茶はきれいな黄色で渋味とほのかな甘味がある。「ゆっくりしていってね」といって奥に戻ると、今度はお茶うけがずらっと並んだお盆を持ってくる。白菜の漬物、カブの酢漬け、こんにゃく、五色南蛮にわさび漬け。思わず「わあっ」と歓声をあげてしまう。

お茶の木の根元にはこんにゃく芋

お茶を飲みつつ、順々にお茶うけをいただく。こんにゃくは歯ごたえがあっておいしい。こんにゃくも光子さんが芋から育てたものだ。「昔はお茶の木の陰はいいこんにゃくが育つって、木の根元にこんにゃく芋を植えていたのよ」。ただし、こんにゃくと共生できるお茶は“在来”の木だ。在来とは、お茶の実(種)から育てたその土地の雑種のお茶。

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整然とした畑の左側にまばらに見える木が“在来”の茶畑

 ただ、在来は出芽時期が不ぞろいだったりと品質が安定せず、業者から「売れない」といわれ、今は大間も栽培品種のほとんどが「やぶきた」に変わった。手摘みが機械摘みになり、茶畑の形も変わり、肥料や消毒の関係で、木の下にこんにゃくを植えられなくなった。

山間地のお茶がおいしい理由など、つづきはうかたまvol.14で!