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vol.27 表紙 2012 vol.27 夏

2012年6月5日発売
定価802円(税込)

田舎の本屋さんで購入する
【震災後の人々を訪ねる】この土地で暮らす・育てる・つくる

写真=奥山淳志

北浜わかめ組合の皆さん。右端が組合長の細川周一さん

天候に左右されるワカメの収穫

 早朝4時、夜明け前でまだ暗い細浦漁港に集まっているのは、ワカメを養殖している北浜わかめ組合の漁師たち。視線は海に向いている。
「出れっかなあ」
「行ってみねばわかんねえな」
「今日は船はゆれるぞ」
 3月から始まったワカメの収穫も、「生」出荷する分は今日が最後。4月も半ばを過ぎたら、ボイルした塩蔵ワカメの出荷に切り替える。
 この日の漁場は15kmほど沖。空は晴れていても波が穏やかとは限らない。海に出られるかどうかは、浜まで来て判断する。空が白み始めてきた。「よし、行くか」。少々の波はあるが、行くことに決めた。3.6tの母船に2人、「かっこ」と呼ばれる小舟2艘にそれぞれ1人が乗る。収穫は、男性4人での作業だ。
 20分ほどして漁場に到着。海上のブイが目印だ。160mの養殖ロープには、びっしりと大きなワカメがついている。ロープに絡んでいるワカメは、暗褐色で不気味な巨大生物という感じ。長いものは2mもあり、水を含むのでかなり重く、刈り取りは重労働。足場も悪くヌメリもあって扱いにくいが、4人の連携でサクサクと作業がすすみ、いつの間にか、船の上はワカメで一杯になっていた。

塩蔵したワカメの茎や枯れた部分を切り落とすなど、収穫したワカメの調整は主に漁師の奥さんたちの仕事

ワカメしゃぶしゃぶは春を告げる味。新鮮なワカメなら、シンプルに食べるのが一番

つづきはうかたまvol.27で!